立ち入り禁止の看板 命の保証はできません

立ち入り禁止の看板 命の保証はできません/私が鹿児島で体験した実話の怪談・奇談
心霊スポットと言われる廃屋や建物には「立ち入り禁止」の看板や貼り紙がされていることはよく見られる。

大学1年の夏休み、1学年上の先輩Tが車の免許を取得した。

その先輩Tともう一人の先輩K、私と私と同学年の友人Nでの四人で晩飯をファミレスで食べている時に先輩Tが「免許取ってせっかく車もあるんだからドライブ行こうぜ」と言い出した。

免許取り立ての時は意味も宛もなくドライブに行きたがるものだ。

夏休みの夜、時間を持て余してるからこそ男4人、ファミレスで飯を食ってるわけで反対する者もいるはずがなく。

ファミレスから先輩Tの家は遠くなかったので4人とも歩きながらどこに行くか話をしていた。

車は5人乗りの乗用車なのでナンパに行くわけにもいかなかったのだが、先輩Kが「心霊スポットに行かない?」と言い出した。

先輩Kの話によると最近噂を聞いたばかりの心霊スポットになっている廃屋が隣の市にあるという。

以前に心霊スポットに行って怖い思いをしたことがあったのだが、喉元過ぎればナントヤラで私も特に反対もしなかった。

だいたい心霊スポットと噂される所は何も出ないことが多い。

そう安々と本物の心霊スポットがあってたまるもんかと思っていた。

車に乗り込み出発、友達Nが先輩Kにどんな心霊スポットか質問した。

K先輩が聞いた話によると
「かなり昔にガス爆発があった建物らしいんだけど、心霊スポットとか廃屋とかって立ち入り禁止の看板があったり、入り口がロープとかチェーンが張られているだろ?
そこの廃屋入り口の看板は立ち入り禁止ではなくて『勝手に立ち入った者の命の保証はできません』っていう看板があるんだって。」
とのことだ。

隣の市にある目的地の心霊スポットの廃屋まで約1時間ぐらい。走り出して30分ぐらいした頃に突然大雨が降り始めた。

それまで雲ひとつなかった夏の夜だったのが「なんか雰囲気出て来たね」「気持ち悪いね」「近付くなとか言う前触れ?」とか社内で言っていた。

その大雨も小降りになり、そのうち止んだ。

隣の市に入った頃には道路すら濡れていなかった。

市街地から少し離れた所で、住宅や建物などの数も少なくなってきた。

「そろそろこのあたり、右手側に雑草ぼうぼうの敷地の前に例の看板が立ってるはずだ。」とK先輩の説明で4人とも進行方向右手を注視していた。

T先輩が「おっと危ないなー。」と少しハンドルを左にきった。

傘をさして立っていた子どもを避けたのだった。

しかしK先輩が「ちょっとなにしてんの?」と不思議そうに言った。

「ほら子どもが立ってたじゃないですかー」と私が言うと友人のNが「え?子どもなんていた?」と言う。

T先輩は「だから避けたんじゃん。」と言う。

一旦停車して、子どもがいただろうという後方を4人で確認したが明かりもないので確認のしようもなかった。

4人とも同じ右手を注視していて私とT先輩は子どもをみた、K先輩と友人Nは見てないと言う。

すると突然、先程と同様にまた大雨が降り出したので車に戻ったが、ワイパーが動いている範囲しか視界が見えなくなった。

この大雨は予兆?前触れ?サイレン?警告?
君子危うきに近寄らず?

沈黙する車内。

K先輩の「なんか…今日は帰ろうか?」と言う言葉に残りの3人も看板を見ることもなく帰ることに同意。

道幅が広くないことと子どもがいた(いなかった?)道を再び通るのも怖いのでUターンせず直進して次の十字路で左折した。

0時を回った頃に無事鹿児島市に戻って来れたが、雨が降った形跡はない。

コンビニによって缶コーヒーを飲みながら煙草を吸っているとT先輩が他の2人には聞こえないように「あの子ども、雨が降る前なのに傘さしてたよな?」と質問してきた。

私は子どもが立っていたことは口にしたが、子どもが傘をさしていたことは口にしていない。


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