4人

4人(死人)/私が体験した実話の怪談・奇談
大学時代、同じサークルの私はYとNとよく遊んでいた。
飲みに行って、カラオケに行って、最後は大学の裏門から出たところにあるファミレスに行く。これが定番だった。
ファミレスでは誰かが潰れてしまって、朝まで過ごすことも少なくなかった。

Yはチャキチャキと先頭を歩くタイプでファミレスに入っても店員さんに「何名様ですか?」と聞かれる前に「3人です!」と伝えるようなヤツだった。
ある時、サークルの部会が長引いて終わったあと、23時を回ったぐらいにファミレスに3人で向かった。
いつものごとくYは先頭で入ると女性の店員さんに「4人です!」と言った。
「え?」私とNは顔を見合わせた。
店員さんも「4名様ですか?」と聞き返してきた。
Yは笑いながら「ごめん!ごめん!3人だったわ。」と伝え直した。
単純な言い間違えかと思った。

頻繁にファミレスを使っていたが、Yは3人という時と4人と言う時があった。
4人という時は必ずあの女性店員さんの時だった。
あの女性店員さんは私達と同じぐらいの年齢で、どうやらYは恋心を抱いたようでなんとかして覚えてもらおうとする下手な刷り込みアピールをしていたのだった。
これもあとに知ったことだが同じ大学の大学生だったらしい。
そのうち女性店員さんも「4名様ですね。」と笑いながら迎え入れてくれるようになった。

ある日もサークルの飲み会が終わって、24時を回っていたがいつものごとく3人でファミレスに行った。
途中で少し向こう側で警察と救急車の赤色灯が光っているのを見た。
3人で「事故かなぁ?」という会話をしたのを覚えている。
ファミレスにつくと女性店員さんは「4名様ですね。」と言ってくれたが、笑顔はなかった。
まぁそんな時もあるだろう。

席に座るとメニューを開いて何を頼むか選んでいた。
そうすると別の年配の女性店員さんが足早にやってきて
「申し訳ありません!遅くなりました!」
と私達にお水を提供してくれた。

持ってこられた水は4つ・・・。

「僕ら、3人ですけど」と言うと女性店員さんは不思議そうな顔をしていた。
Yが「いいですよ、4つもらいます。」と言い、それぞれメニューをオーダーした。
Nが「なんか怖っ」と言ったがその時は気にもとめなかった。

頼んだメニューを配膳にくるのも年配の女性店員でその日はあの若い女性店員さんは店内に入った時しか見なかった。
なのでYがつまらなそうな顔をしてチョコレートパフェを食っていたのを覚えている。

あの日以来、ファミレスに行ってもあの女性と会うことはなかった。
意を決して支払いの時にYは「〇〇さんって辞められたんですか?」と聞いた。
年配の女性店員さんは残念そうに「あの娘、事故にあって・・・」と。

それから大学内であの女性の情報を3人で調べてみたが最後にファミレスで見た日、あの日に事故にあって亡くなっていた事がわかって僕らは絶句した。

もうYの「4人です!」という発言も聞くことはなかった。


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