高速道路の電話

高速道路の電話/私が実際に体験した怪談・奇談
今から約20年前の大学生時代に免許を取得したあと親父が車を買い替える際に古くなった車を譲ってもらった。

年に何回か実家に帰省していたが、電車を鹿児島から宮崎で乗り換えて大分へ帰っていたが、免許を取ってからは高速道路を使って車で帰るようになった。

あれは年末に2回目の車での帰省の時だったと覚えている。

冬の夕方で既に暗くなりつつあった。

車の運転にもなれて余裕とスピードを出すことに快感を感じるようにもなり、初心者の時よりも視界は広くなっていた。

気付くと路側帯を必死に走ってくる金髪で派手なシャツの青年が見えたがその光景も一瞬で通り過ぎてしまった。

なんだろう?と思っていると高速道路上の電光掲示板に「この先 事故車有り」の表示が出ていて、みるみる渋滞してきた。

もう少し前に高速道路備え付け非常用電話があったので、もしかしてあの青年は事故をして電話をかけに行っているのか?と瞬間的に思った。
※当時はまだ携帯電話を持っている人は少なかった。

スピードを下げながら走っているとパトカーや救急車の赤色灯が見えてきて事故現場に差し掛かり、乗用車が大破していた。

もうパトカーや救急車が来ているということはあの青年は?と思ったが事故には関係なかったのかとも思い、事故現場を通り過ぎた。

翌日、実家で昼前に起きて朝食兼昼飯を食べながら新聞を読むと事故の記事が載っていた。

運転していた男性は亡くなっていた。

ではあの必死に走っていた青年は?と疑問に思ったがすぐに忘れてしまった。

春。

法事があるので帰省のため高速道路を走っていた。

高速道路備え付け非常用の電話を見て、事故があったことを思い出しながら非常用電話を通り過ぎた。

するとあの青年が走って来た。

目を疑ったがあの金髪であの派手なシャツだったので間違いない。

勝手な決め付けだが非常用電話に向かって走っているのだろうと。

事故を起こしたことを通報したいのか、それとも家族や恋人に連絡したいのだろうか。

それ以来、走る青年の霊はそれ以来何度その高速道路を走っても見ることはなかった。


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