私が鹿児島に住んでいた時にアパートのお風呂で体験した怪談です。
一人暮らし、学生が借りる1Kの典型的なアパートの1階に住んでいました。
玄関を開ければ台所。
台所を背にしてトイレと風呂がある。
学生が住む安いアパートではトイレと風呂が一緒ということが多いが、私が住んでいたアパートはトイレと風呂は別々で、風呂は折れ戸式の扉がついていた。
その風呂が今回の怪談体験の場です。
その日は彼女が遊びに来ていました。
晩飯を食って、テレビを観たり、ゲームをするなどしているとあっと言う間に時間が過ぎていました。
その日は彼女は帰る予定だったが時間的に帰るのが面倒になったようで結局泊まることに。
しかしメイク落としなどを持ってきていなかったので歩いて数分のコンビニに行って来ると。
一緒に行こうかと言ったのだが「先にお風呂に入ってて良いよ。」とのことで、ついでにビールなどのアルコールやツマミなどもお願いして先に風呂に入った。
風呂に入ると言っても当時はシャワーだけで済ませていた。
シャンプーをして、体を洗い、最後に頭からシャワーを浴びる。
最後の頭からシャワーを浴びている際にバスタオルを用意するのを忘れたなと思った。
風呂場の前には足ふきマットを敷いているが、部屋まで取りに行くと足元がビショビショになってしまうのでいつもは折れ戸の取っ手にバスタオルをかけていたのだったが。
シャワーを浴び終わって目を閉じたまま「ふぅ」と一息ついた。
その時、ガチャッと折れ戸が開いた。
水滴がまだ顔を流れていたため片目を閉じたまま身をよじる様にして、「はい」と手渡されるバスタオルを受け取った。
そしてガチャッと閉まる折れ戸。
コンビニから帰って来た彼女が丁度いいタイミングで手渡してくれたそのバスタオルで体を拭き、風呂場から出た。
…つもりだった。
私が風呂場から出たと同時に玄関が開いた。
「ただいまー」と彼女が入ってきた。
え?と思って硬直した私だったが、彼女はそんな私を見て「何してんの?早くパンツ履きなよ。」と。
コンビニで買い物ついでに立ち読みもしていた彼女。
ではバスタオルを手渡してくれたのは誰だったのか?
実はこの鹿児島のアパートでの怪談・奇談はいくつかあるが、彼女に話せば怖がると思って話はしないでおいた。
ちなみに彼女とは1年後に別れたが、大学を卒業するまでそのアパートにはお世話になりました。