私は大分県の別府市で育ち、高校も別府市内の県立高校に進学しました。
入学した年、1年生のクラスに霊感が強いという女子生徒TさんとYさんの2人がいました。
2人とも成績優秀で真面目、あまり冗談を言うタイプではありませんでした。
Tさんははっきりと霊が見えるという人でYさんはぼんやりと見えるという人でした。
ある時の席替えで私は廊下側の一番後ろ、Yさんが私の前、Tさんが私の横という配置になった時がありました。
授業中に廊下を小さな子が「キャッキャ」と嬉しそうな声を上げて廊下をパタパタと走るのを聞きました。
ここは高校なので小さな子がいるはずはありません。
え?と思い、廊下を覗いて見るもやはり小さな子がいるはずがありません。
気のせいだろうと思い、授業の内容に戻っていましたがまた聞こえます。
なんだろう?と思っていると隣のTさんがこっちをみていました。
ということは…と思いながらその授業を終えて、休憩時間にTさんに「さっきの聞こえた?」と質問するとそれを聞いていたYさんも「やっぱり!」と会話に入ってきました。
Tさんは「廊下に小さな子がいたよ。特に悪さはしなさそうだから大丈夫。」はさらっと言いました。
そこに「なになに?」と会話に入ってきたのはTさんの前の席に座っているF君。
Fくんは野球部で元気の塊みたいな感じです。
とりあえずF君に「授業中になんか聞こえた?」と質問してみると「何も。」と返ってきました。
F君以外にも数人に聞いてみるとやはり何も聞こえておらず、小さな子の存在に気付いたのは3人だけでした。
その時はなによりも悪さする、しないまでわかるTさんにゾッとしました。
その他にもTさんが「今日はあまり廊下でふざけない方がいいかも…」と預言めいた日に他のクラスの生徒だったが廊下で転倒して骨折したのと、どこからともなく石が飛んできて窓ガラスにヒビが入ったこともありました。
ある日のことです。
Fくんが珍しく朝から「なんか気分が悪い…」と言っていましたが確かに顔色も悪かった。
1時間目の授業が終わった休憩時間にF君が「あー!なんかスッキリした!」と顔色もよく背伸びをしていました。
ふとTさんを見るとすごく疲れた顔でした。
Tさんに「どうかした?Tさんも今日は体調不良?」と声をかけると小声で「F君の背中に今まで見たこともないほど気持ちの悪い緑の手が貼り付いていたから…でも授業中にふっと消えたけどね。」と力なく笑いながら返してくれた。
緑の手は私には見えませんでしたが、YさんもF君の背中にぼんやりとしかも濁った感じの何かを感じていたようです。
よく「肩に憑く」と言いますが、背中にも注意なのかもしれないとこの時から思うようになりました。