火の玉

火の玉/私が体験した実話の怪談・奇談
小学生時代を大分県別府市で過ごしたが、当時小学校高学年になると林間学校で山奥の少年自然の家に宿泊体験の行事があった。

一泊二日とは言え、特別な行事なのでみんな興奮状態。
昼間にハイキング活動などあったが夜になってもガサガサと動き回っていた。
1班6人で部屋には二段ベッドが4台あり、じゃんけんで自分の寝る場所を決めた。
私は廊下側のベッドの上の段を選んだ。
ベッドの横には廊下に顔を出せるぐらいの磨りガラスの引き違い窓がついていた。
就寝消灯時間がきても、なかなか寝つけるものでもなかった。
小声でコソコソとみんなと話をしていると見回りの先生の足音が聞こえてくるとクスクスと笑い声をこらえながら通り過ぎるのを待った。
どこかの班が先生に怒られるのも聞こえたりした。
廊下には非常用の電灯しか付いておらず、先生が見回って来る時には引き違い窓から懐中電灯の灯りの反射がうっすら見えていた。
何度か先生の見回りがあったあと、もう寝てしまった友達もいて話のネタも尽きて私もうっつらうっつらとし始めた。

意識が朦朧としてきた頃、ふと気付くと引き違い窓の向こう側がぼんやりと明るいのを感じ「また先生の見回りか…」と思ったがそこからの記憶がない。

次の朝、言い争う声で起きた。
違う班のクラスメートが部屋まで来ていた。
最初は何を言っているのか理解できなかった。

「本当に火の玉が出たんだって!」

その言葉にギョッとして意識がハッキリした。

「そんなん、ウソやん!」

茶化すような声もあったが、部屋の窓から見える山の方に火の玉を見たという隣の部屋のクラスメートは真面目に言っていた。

そうか、昨日磨りガラスの窓越しにぼんやりと明るさを感じたのは火の玉だったのかと一人で納得していた。

二段ベッドの上の段で明るさを感じるほどの高さに懐中電灯を持ちながら先生が見回るはずもない。