焼肉屋の裏メニュー

焼肉屋の裏メニュー/私が体験した実話の怪談・奇談
一人暮らしの大学生にとって焼肉は飛び切りのご馳走だった。

サークルの2学年上のM先輩が部室にやってきて「パチンコで大勝ちしたから焼肉行くぜー!」と誘われた。

私も含めて3人の後輩を引き連れてM先輩は行きつけだと言う大学の裏手の線路を越えた所にある店主とおばちゃんが2人で切り盛りするこじんまりとした焼肉屋へ。

満席だったが店の前で人なつっこい数匹の猫と戯れながら少し待つと席が開いて座れた。
M先輩のおごりなので注文も任せていたがカルビ、ホルモン、センマイなど適当に頼んだあとに

「おばちゃん、今日は裏メニューある?」

と聞いていた。

「今日はもう全部出ちゃったのよねー。ごめんねー。」

との返答だった。

おばちゃんが注文を取り終えて厨房に戻ったあとにM先輩に「裏メニューってなんですか?」と質問してみると「たまにつけダレの安い肉があんのよ。」と。

メニューをみるとだいたい一人前400円前後で学生でも来やすい金額設定なのだが、その裏メニューとやらは一人前100円らしい。

ただ希少部位なので出せる量も多くないらしい。

希少部位ならば逆に高いのでは?と思いつつ、注文した肉が運ばれてきたので一斉に焼き始めた。

その日は腹一杯食べさせてもらいました。

帰りの勘定でM先輩がおばちゃんに「猫ちゃんたちは里親見つかった?」と聞いていた。

レジの横の壁に 猫の里親募集! の貼り紙がしてあったのに気付いた。

「もう見つかったわ。今日もありがとねー。」

と言うと剥ぎ忘れていたのであろうその猫の里親募集の貼り紙を剥いでいた。

帰りがけにM先輩に「猫、飼いたいんですか?」と聞くと「いや、1年の頃からずっとあの焼肉屋に通ってるけど、よく里親募集しててさ。おばちゃん家がいっぱい猫がいてコロコロ産まれるんだって。」という返答に納得した。

その後も何度かその焼肉屋に行くことがあったが、私は裏メニューに出会うことがなかった。

ある時、学食で飯を食っていた時に隣のテーブルにいた学生達の一人が言った。

「線路沿いに〇〇〇〇って焼肉屋があるやん?先輩に聞いたけどたまに猫の肉出してるらしいぜー!」
「うっそ!まじでー!(笑)」
「朝、線路沿いで店主が電車に轢かれた猫を拾ってて、その日に行くと裏メニューがあるらしいって!」

瞬間、背筋がゾッとした。

本当かどうかはわからないがそれ以来、その焼肉屋に行くことはなかった…。


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